育ちのこころ2025年6月号
 【ママやパパたちへ】
育ちのこころ…「芋コぎ」を大切に!
 
私の保育のバイブルは、『ごらん、幼児のこの“いのちの爆発”を』です。茨城県鹿嶋市にあるキリスト教主義の鹿島幼稚園で長く園長をされた青木敬和先生の著書で、本のサブタイトルは「パパ・ママへの、ぶうぶう園長応援歌」で、子育て真っただ中のパパやママたちへの愛情がいっぱいつまったステキな本です。
この本の中に、「『芋コギ』を、シッカリやらせちゃお」の章があります。紹介しましょう。
園生活のことを、別名「芋コギ」といいます。
八百屋さんが、大きな桶に泥にまみれた里芋を入れ、水を注いで、棒でゴロゴロとこぐのです。
すると、芋と芋がぶっつかり合って、泥や皮がとれ、キレイに、つるつるの里芋になる、あれです(もちろん、この頃、この貴重な光景はあまり見られません。スーパーでキレイになってパックに入れられている)。
この時、大事なのは芋と芋が接触することで、芋をこぐ棒や板(これは親や教師)が、直接棒にあたると芋に傷がつきます。ちょうどこれと同じように、生まれて初めての集団で、こどもとこどもが“ぶつかり合って”、友だちと一緒に生きる方法を会得するのです。
「芋コギ」って、初めて聞いたかもしれませんね。
興味のある方はインターネットで調べてみてください。「芋コギ」の紹介が出てきます。「芋車」なんてのも地方によってはあるようで、オモシロイですよ。
 
2025年度の保育が始まって2か月がたちました。
園生活に慣れた子どもたちは、徐々に自分を出し始めています。
そして、自分を出し始めると何が起こるでしょう?
それが、「ぶつかり合い」です。自分の思いの主張が強くなり、友だちとの思いの違いでぶつかり合います。
遊んでいる遊具の取り合いも起こるし、自分の思いが通らないと手や足が出ちゃいます(口が出ることも)。
でも、この「ぶつかり合い」には大切な意味があるのです。それが、「芋コギ」なのです。
つい、子ども同士のトラブルを起こさないようにとか、子どもがツライ思いをしないようと、先回りしがちです。
でも、それだと「芋コギ」が起こりません。
あるいは、早く自立させようと、あれやこれやと手出し・口出ししてしまいがちです(「芋こぎ」では棒や板にあたります。)でも、それが強すぎて芋が傷ついてしまったら、と考えましょう。必要以上の手助けはやめて、助けたくてもグッとガマンです。子どもが将来一人立ちし自力で生きていくために。  (園長:飯塚拓也)
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