育ちのこころ2022年12月号
 【ママやパパたちへ】 12月育ちのこころ
「幼児期に何を積み重ねる?①」
 
「子どもの時代に多くの『体験』を重ねた子どもは、大人になってからコミュニケーション
能力・学習意欲・関心などが高い傾向がある」という分析があります。
幼児期にどれだけたくさんの体験を重ねることができたかと、その体験がどれだけステキな
体験だったかが、大人になってからの差となって現れるということです。
「ペリー就学前プロジェクト」を紹介しましょう。
1962〜1967 年の間、ペリー小学校付属幼稚園に通う3〜4 歳の子ども123 名を対象に行われ
ました。子どもたちを2 つのグループ、就学前教育を施すグループと施さないグループに分け、
就学前教育を施すグループには30 週間にわたり専門家による指導を行いました。
そして、この2 つのグループの子どもたちの追跡調査を行いました。
3〜11 歳までは毎年行い、14、15、19、27、40 歳の時点でも行いました。そして、さまざま
な項目でどんな違いがあるのか比較をしました。
当初、このペリー就学前プロジェクトは失敗に終わったのではないかとされた時期があった
そうです。それは、この研究の目的は「子どものIQをあげること」だったからです。
指導後、数年はIQは上がったのですが、小学校3 年生の時点で就学前教育を施さなかった
グループとの差がなくなってしまったのです(園長談:「早期教育」の限界が露呈しますね)。
しかし、その後の追跡調査で、就学前教育を施したグループと施されなかったグループとの
間に、さまざまな差が出始めました。それらは「人生の幸福度に関わる差」でした。
まずは年収です。就学前教育を施したグループの60%が年収2 万ドル以上だったのに対し、
施されなかったグループは40%であり、1.5倍になりました。
持ち家率も、就学前教育を施したグループは36%、施されなかったグループは13%と、約3
倍になります。また、高卒率も就学前教育を施したグループは77%、施されなかったグループ
は60%となりました。
1 番注目したいのが、14 歳時点での基礎学力で、就学前教育を施したグループと施されなか
ったグループに大きな差が出たことです。
IQは上がりませんでしたが、それ以外の面で非常に良い結果が出たことが判明しました。
これは、言い換えると、「IQだけがすべてじゃない。もっと大切なことがある」です。
「それは、何?」を一緒に考えましょう。
次月は、ペリー就学前プロジェクトでどのような教育がされたのかをお伝えします。
(園長:飯塚拓也)
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