11月の育ちのこころ
「子どもの育ちを考えよう③」
10月は育ちのこころをお休みし、申し訳ありませんでした。
この「育ちのこころ」は、「子育てで、こんなことをたいせつにしよう」と呼びかけるもので、園と保護者の皆さまが同じ思いで子どもと向き合いたいと願っているものです。できる限りお休みしないで書いていこうと思っていますので、よろしくお願いします。育ちのこころで、園と保護者が一つになりましょう。

9月の育ちのこころで触れた、東京メトロの駅での大学生が硫酸をかけた事件に続いて、10月31日の夜にも、京王線の電車の中で24才の青年による残酷な事件が起きてしまいました。「死刑になりたかったから」とこの青年は動機を語っているとのことですが、この青年の心の中を思うと、なんともやりきれない気持ちになります。小中学生の時には目立たなく、友だちの後ろにいるような子どもだったそうです。
そして、ここで想うのが、「凶悪犯罪の根底には、幼少期の「愛着障害」が存在する」との指摘です。

「アタッチメント(愛着理論)」という考えがあります。心理学者で精神分析学者のイギリス人ジョン・ボウルビィによって提唱され、1960年から1980年にかけて発達心理の分野で発展した理論です。
ボウルビィは、幼児は、生後6ヶ月頃より2歳頃までの期間に、自分に対して継続的に関わってくれる大人に対して愛着を示すと指摘します。
不安を感じた赤ちゃんが泣いて救いを求めるのは、アタッチメントの始まりということで、だからその不安を解消してあげることが大事だし、それが徐々に「特定の相手」によって解消されることを子どもは求めるようになるというのです。
また、ボウルビィは、生後6ヶ月頃より2歳頃までの後半には、子どもは愛着の対象者(親、保護者、養育者)を安全基地として使うようになり、そこから探索行動を行い、またそこへ戻ると指摘します。
つまり、何か不安なことがあると、親(保護者)のもとに戻り、安心すると親から離れて遊びだすというサイクルを繰り返します。そして、年齢が上がるにつれて、自分自身でも不安を解消する力が蓄えられて、徐々に親の元に戻ることが減っていくのです。
そして、5才前後までに、かなり中核的な働きをするようになる内的作業モデルが成立します。
そこに、自分、他者、その関係性という表象が情動を伴って存在するのです。

ちょっとムズカシイ文章でしたが、実はこの「アタッチメント」こそ、非常に重要なことだと思います。
そして、「アタッチメントは、そんなに難しいことじゃない」ことをお伝えしたいのです。それは、『たっぷりと可愛がること』です。こどもが、ママ!パパ!って来たときには、思いっきりギューって抱きしめてあげることです。それが子どもの中に『コア(核)』を形成し、そのコアが子ども自身を内側から支えるのです。
『愛された子どもは、自分が愛されたことを決して忘れません』。この続きは、次月に。
(飯塚拓也)
紹介MOVIE

カテゴリー(バックナンバー)

Top